アレクサンダー・テクニークを始めたきっかけ
レッスンにいらっしゃる方によくきかれる質問に、
「けいこさんがアレクサンダーを始めたきっかけは何ですか?」
というのがあります。
そのときに答える内容は、だいたいこんな感じです。
若い頃から肩こりなどの不調があり、整体に通ってもなかなか改善せず、
自分でケアする方法を探していたときに、
バイオリニストの書いた本を読んで「アレクサンダー・テクニーク」を知り、
体のことで、バイオリンにも役立ちそうなので、興味を持ちました。
私がアレクサンダーを始めたきっかけを、もう少し詳しく書いてみたいと思います。
私は若い頃から肩こりや腰痛や疲れで、整体などのお世話になっていました。
整体を通して全身のつながりに興味を持ち、勉強することも考えましたが、
整体師になっても自分自身には施術できないし、
他人への施術が向いているとも思えませんでした。
施術を受けてもすぐに戻ってしまうので、
自分の普段の生活に原因があるのかなとも思い、
自分の体を自分でケアしたいという思いがありました。
また、子供の頃から眼の機能に弱点があり、眼の曲がり角の40歳前ごろから、
コンピュータの仕事をしていたこともあって眼精疲労が激しくなりました。
何とかならないかと色々調べたり、検査にいったりしましたが、
「あなたの場合は仕方がない」と言われるばかり。
一方、仕事では、専門性の高いソフトウェアの研究開発をやっていて、
当時は重要な案件にかかわっており、小さなチームをまとめながら、
新しい技術を開発していました。
忙しくも充実していた時期ではあったものの、疲労が蓄積しやすく、
眼も疲れるのに、ずっとコンピュータとつきあっていくのだろうか、
というもやもやした気持ちがありました。
このように、体が不調を訴え始める年代に突入していました。
そして、何か新たに興味を持てるものとの出会いや、
人との新たな出会いを望んでいた時期だったのです。
そんなころに手に取った本が、N響バイオリン奏者の鶴我裕子さんの
エッセイ集「バイオリニストは肩が凝る」でした。
N響の日常がおもしろおかしく書かれていて、大好きな本です。
タイトルの「肩が凝る」のエッセイは3ページなのですが、
鶴我さんの肩凝りが、指圧院で1番すごいといわれたこと(私も言われたことあります)、
バイオリンのせいというよりは近視で譜面を凝視するのが原因であることが、
おもしろおかしく書かれていて、「そうそう私も!」と共感しました。
他のエッセイもおもしろくて最後まで全部読み終わり、あとがきを読むと、
本のタイトルに関して次のような記述がありました。
まことに、肩凝りは、私のバイオリン人生の道連れでした。・・・(略)・・・
何をかくそう、「アレクサンダー・テクニック」なるものを半年前に知ってから、
どんどん軽くなっているのです。不思議です。
これが私のアレクサンダー・テクニークとの出会いです。
不思議なものなんだ、ということにも興味をひかれました。
これはやってみるしかない!
そして、体調不良でフラフラしながら、初めてのレッスンにいきました。
レッスンでは、楽器を弾いてみたり、歩いたり、腕を上げたりして、
音や体のちょっとした変化を体験しました。
おもしろいような、よくわからないような感じでしたが、
とにかくしばらくやってみよう、と思いました。
今から10年前のことです。
こんなに続けるとは、さすがに思っていませんでしたね。
自分の「体」をどうにかしたいという動機から始まったレッスンは、
体だけではない「自分全体」と向き合う旅路の始まりでした。
どんなことを学んできて、どんな変化があったのか、
少しずつ書いていきたいと思っています。