体育苦手女子のためのワークショップ開催報告~動きを丁寧に見直す体験

先日、秋晴れの気持ちのよい日に渋谷にて、「体育苦手女子のための自信回復ワークショップ」を開催しました。 アットホームな雰囲気の中、みんなで楽しみながら進行し、にこやかに終了しました。
「体育」をテーマにするのは私にとって初めての試み。また、アレクサンダー・テクニークのトレーニングコース時代の同級生である滝波日香理さんと、私(村上敬子)による初めての共同開催となりました。
運動が苦手だった私たちだから企画できたこと
アレクサンダー・テクニークは「体の使い方」を学ぶメソッド。一見すると体育とつながりがありそうですが、実は講師2人とも子供のころから運動が大の苦手。アレクサンダー・テクニークを学ぶ中で、動きへのコンプレックスを少しずつ克服し、「子供の頃にこんな体験ができたら楽しかっただろうな」という思いを抱いていました。
「ドッジボールって痛くて怖かったよね」「チーム競技で失敗すると冷たい視線を感じていた」「一人だけできないと恥ずかしい」などなど、今だから笑って話せる、苦い思い出を共有し合いました。
カラダを動かすって楽しいことなんだ、できなかったのはやり方を知らなかっただけ。そんなことを、体験を通して感じてほしいと思いながら、今回の企画を進めてきました。
背骨の意識と楽な動きの体験
ワークは、ウォーミングアップも兼ねて「ラジオ体操」から始めました。実は、事前の練習時には息が切れて体力の低下を感じていたのですが、当日はみんなで「次これだっけ?」「ここどうだっけ?」といいながら、楽しく行いました。
骨格模型を使って「背骨」を中心に解剖学的な説明を行い、骨格の動きの観点からいくつかの動きを丁寧に見直し、自分の動きを意識的に観察する時間となりました。
次は、「スクワット」に挑戦です。
筋トレには「きつい」というイメージがつきものですが、正しいやり方の手順を理解した上で余分な力みをなくして動くと、楽なのに効率よく筋肉を鍛えられると思うんですよね。
骨格模型で特に股関節の動きを解説しながら、全身をどう動かすかを一緒に考えていきました。どの関節をどう使っているかを考え、実験するように動いてみることで、自分の動きを丁寧に見直す体験をしていただきました。
恐怖心が楽しさに変わる「ボール投げ」
今回のワークショップで私たちが一番取り上げたかったのが「ボール投げ」です。
私は子供のころ、球技が大の苦手でした。ボールが飛んでくるときは速さに目が追いつかず、カラダが固まってしまいます。投げるときもコントロールができず、ただ腕を振り回して目の前にポトンと落ちる……なんてこともしばしば。
そんな私がアレクサンダー・テクニークを学び始めたころ、海外教師のワークショップでボール投げのワークを体験しました。そのときに、小さなボールを投げ合いながら、「ボールを取って投げるのが(怖くも恥ずかしくもなく)楽しいな!」と初めて思えたのです。
このときの感動を皆さんとシェアしたくて、このワークを取り入れました。
使用したのは「クッシュボール」という、カラフルでモジャモジャした不思議な形のボール。当たっても全く痛くありません。これを投げ合いながら、体の反応や「ボールを見る」ことを探究していきます。
アレクサンダー・テクニークの用語で言えば、これは「刺激に対する反応を抑制する」練習です。「取らなきゃ!」という意識を一度手放し、まずは近づいてくるボールをただ目で追います。 すると、無意識に取ろうとして体が「ぎゅっ」となる瞬間があります。この緊張に気づき、手放していくことで、落ち着いてボールと向き合えるようになっていきます。参加者の皆さんも童心に帰ったような笑顔で楽しんでくださいました。
参加者の皆様のご感想
今回のワークショップを通して、嬉しいご感想の声をたくさんいただきました。一部をご紹介します。
股関節の動かし方がイメージしづらかったのですが、「座骨が後方にスライドする」という感覚がよくわかりました。
日頃の自分の体の使い方の癖がわかって、今後どのように動かしていけばいいかを知る機会になりました。
ボールを最後まで見ることや、すぐに反応せず余裕を持つこと。これらを意識すれば、余分な恐怖心を取り払うことができたんだなと思いました。
皆さんに楽しみながら学んでいただけて、講師の私たちにとっても非常に充実した時間となりました。
ご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました!


